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【設計サプリ】その23(機能ゲージの設計)

[掲載日]2023.01.16

設計者の皆様

いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
このページでは
私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第23回目は「機能ゲージの設計」です。

弊社のような加工メーカーが加工寸法を保証する方法として、計測器を用いた実測の他に機能ゲージと呼ばれる検査ゲージを製作し使用する方法があります。
機能ゲージを使用して検査することで検査工数を減らしコストダウンを図ります。
また、お客様も同じ機能ゲージを持って受け入れ時に検査される場合もあり、同じく検査工数を減らすことができる重要なツールです。
今回はこの機能ゲージの設計について紹介します。

(1) 検査対象形状

図1のような同軸度が規定された段付き穴を例に機能ゲージを考えてみます。
同軸度はΦ0.05で最大実体公差が指定されています。
またデータムAにも最大実体公差が指定されています。
この最大実体公差がないと機能ゲージは使用できません。
理由については第6回「ボーナス公差でコストダウン」を参照ください。
図1

(2) 機能ゲージ

段付き穴ですので機能ゲージは段付きピンとなります。
ゲージ製作公差を5ミクロンとした場合、データムとなっているΦ20のゲージ寸法は公差下限値Φ20を下限とし、上限は5ミクロン大きいΦ20.005とします。
Φ20部は全てでこの公差は必要ないので必要範囲を決めてそれ以外は公差外れても良いように注記を書きます。
同軸度指定のあるΦ40のゲージ寸法は公差下限値より同軸度分引いたΦ39.95とし上限は5ミクロン大きいΦ39.955とします。
Φ40部は手で摘まんだときのすべり止めにローレット加工を施します。
また、Φ20の付け根には研磨用の逃がし溝を設けます。
使用するうちに摩耗するため、材質はSKD11相当の材料に熱処理を施し、HRC60以上の硬度にします。
図2に設計した機能ゲージを示します。
この機能ゲージを用いることで図1で指定された同軸度は入ればOK、入らなければNGの判定が可能となります。

設計上の注意点としてはゲージの製作公差分(今回の例では5ミクロン)公差が厳しくなります。
よって、ゲージの形状を複雑にすると製作が難しく製作公差が大きくなり、NG判定ばかりになるゲージになってしまう恐れがあります。
出来るだけシンプルなゲージになるように設計します。
図2

設計者の皆様にも参考にしていただければと思います。

【この記事を書いた人】

稲田聡(いなたさとし)
株式会社ナカサ 開発室長
ファクトリー・サイエンティスト No,00385
1966年島根県安来市生まれ
1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

(現在の主な使用ツール)
Rhinoceros
Fusion360
Ansys

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