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【設計サプリ】その22(スライドコアで抜けない形状を作る)

[掲載日]2022.12.15

設計者の皆様

いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
このページでは
私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第22回目は「スライドコアで抜けない形状を作る」です。

設計者の皆様はスライドコアを使っても抜けない形状はどのように対処されているでしょうか。
抜けるように設計変更してしまわれるでしょうか。
今回は設計変更しないで製作する方法を紹介します。

(1) スライドコアで抜けない形状とは

スライドコアで抜けない代表的な形状が図1のようなエルボ形状です。
スライドコアでは抜くことができないので金型が設計できません。(図2)
図1
図2
弊社で取り扱うロストワックス鋳造品でもこのような形状は多く
対処方法としてはソリブルワックスを使った方法と3Dプリンターを使った方法を
用います。

(2) ソリブルワックスを使った方法

ソリブルワックスとは水溶性のワックスで以下のようにして使用します。
まずスライドコアに相当する部分だけの金型を作りソリブルワックスを射出成形します。(図3)
図3
次に製品を作るための金型に上記で射出成形したワックスを組み込み通常のワックスで射出成形し
ソリブルワックスが中に詰まった状態の製品を製作します。(図4)(インサート成形)
図4
次にソリブルワックスが中に詰まった状態の製品をしばらくお風呂に入れます。
すると中に詰まったソリブルワックスが溶け出し、必要な製品部分のみ残ります。(図5)
図5
これを鋳造して金属製のエルボ製品を作ることができます。

(3) 3Dプリンターを使った方法

上記のソリブルワックスを使用した製造方法では金型を2種類製作する必要があるため
コストもかかりリードタイムも長くなります。
そこで金型を製作せず直接(図5)に相当する形状をワックスのように溶けるパウダーを使い
3Dプリンターにて製造することで金型費、リードタイムを削減する方法があります。
この製法は設計サプリ(その21)「金属3Dプリンターの現状」でも紹介していますので参考にしてください。

ソリブルワックスを使った方法と3Dプリンターを使った方法いずれの方法でも写真1のエルボ形状を製作することができます。
写真1
弊社では3Dプリンターによる消失模型にて金属加工品を試作するサービスを行っております。
金型を使ったロストワックス精密鋳造品の製作も承っていますのでぜひご検討ください。

【この記事を書いた人】

稲田聡(いなたさとし)
株式会社ナカサ 開発室長
ファクトリー・サイエンティスト No,00385
1966年島根県安来市生まれ
1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

(現在の主な使用ツール)
Rhinoceros
Fusion360
Ansys

【過去に書いた記事】

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弊社ではロストワックス精密鋳造品を主としたニアネットシェイプ素材の切削加工、研磨加工、放電加工を受託加工しています。
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