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図面スキルマップ(事例紹介) | 設計サプリNO,33

[掲載日]2023.11.15

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設計者のみなさま、いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
弊社では、私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第33回目は「図面スキルマップ(事例紹介)」です。

設計者のみなさまが所属されている部門にはスキルマップはありますでしょうか。
スキルマップ(力量の有効性評価)はISO9001(7.2)に規定されていることもあり、目にされたことがあるのではないでしょうか。
各社さまざまな評価方法があるスキルマップですが、今回は図面に関するスキルマップに着目し、具体的な事例を紹介します。

図面スキルマップの目的

設計者のみなさまは自身が考えた設計を正確に図面に描き製作担当に伝える必要があります。また私たち加工メーカーは設計者のみなさまが描かれる図面を正確に読み取り理解する必要があります。よって私たちにとって図面のスキルはとても重要で、そのスキルを評価し向上させるためにスキルマップは存在します。

ISO9001にも規定されている

認証取得企業も多いISO9001(7.2)では

  • 品質マネジメントシステムのパフォーマンスと有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人々に必要な力量を明確にする。
  •    途中省略

  • 力量の証拠として、文書化した情報を保持する
  • と規定されています。
    よってISO9001の認証を受けておられる企業はスキルマップを作成されていることが多いです。

    図面スキルとは「知っている」「知っていない」かではない

    私たちは仕事の指示を受けるときに「図面を読んでください」と指示されることはありません。

  • 図面を読んで○○を設計する
  • 図面を読んでQC工程表を作成する
  • 図面を読んでFMEAを作成する
  • などのように成果物を求める指示を受けます。
    よって図面スキルとは知っているかではなく、 求められた成果物に対して品質を担保できるかどうかです。

    QC工程表とは

    QC工程表については【設計サプリ】その25(QC工程表のチェックポイント)を参考にしてください。

    FMEAとは

    FMEAについて説明します。
    FMEAは故障モード影響解析のことで、設計段階では設計FMEAと呼びます。
    製品を構成する部品の故障モードを挙げてこれらの故障モードが製品に及ぼす影響を予測します。これにより潜在的な事故、故障を設計段階で洗い出します。
    一方製造段階では工程FMEAと呼び、作業や機械設備、材料ごとに故障モードを挙げ、これらの故障モードが製品特性に及ぼす影響を予測することにより潜在的な事故を工程設計段階で洗い出します。洗い出した故障モードは数値化されリスクの高いものは対策を盛り込みます。

    評価基準は4段階


    評価基準の4段階について紹介します。

    評価基準(レベル1,2)

    評価基準となるレベル1,2は問われた内容をすぐに成果物に反映できるかです。
    必要な知識を暗記していればすぐに反映できますが(レベル2)、すべて暗記する必要はなく、近くに手引書がありすぐに確認できる状態にしておくことも必要なスキルです(レベル1)。
    インターネットで調べることも可能ですが、毎回検索してヒットしたページを利用するのはお勧めしません。信頼性のある決まったページを決めておくようにしましょう。

    評価基準(レベル3,4)

    評価基準となるレベル3,4は求められた成果物に対し、その機能や性能(特性)まで理解しているかです。よって具体的な事例を経験している必要があります。(レベル3)さらに製造担当は測定の難易度や製造の難易度によりリスクを評価できる必要があります。また設計担当は材料不良や寸法公差を外れた場合のリスクについて評価できる必要があります。(レベル4)

    図面スキルマップ事例

    以下に具体的なスキルマップの事例を紹介します。

    投影図

    3次元CADが主流になった現在でも投影図の読み取りは必要です。
    2次元→3次元、3次元→2次元の変換はできるようにしておきましょう。

    材料

    設計担当、製造担当にとって材料に関する知識は必須です。
    下記は一例ですが、自社で普段よく利用する材料に置き換えて説明できるようにしておきましょう。

    JIS製図

    JIS製図では多くの規格が存在します。
    中にはほとんど使用しない規格もありますが、下記の例は重要度が高いと思われるものを抜粋して掲載しています。

    注記関係

    図面に記載される注記情報も漏れなく理解する必要があります。
    熱処理や表面処理などは良く記載される代表的な項目です。
    自社で利用する処理方法については理解しておきましょう。
    下記の事例では禁止物質の含有に関する規格(RoHSとchemSHERPA)も挙げています。自社で設計した製品がどこの国で使用されるかによっても対応する規制も異なりますので、不明な点は調べておきましょう。
    その他指示なき寸法公差の参照方法やエッジ、コーナー部の処理など細かな所も見逃さないようにしましょう。

    紹介したスキルマップをダウンロードできます

    今回紹介したスキルマップをダウンロードページよりダウンロードできます。
    新人設計者のみなさまの自己診断にご利用ください。
    参考までの推奨値は120点以上としています。(ただし0点の項目が無いことをおススメします。)
    もし0点があるようでしたら、この機会に手引書など揃えて無くしておきましょう。

    お断り

    今回の記事で紹介しましたスキルマップの考え方や項目は筆者の実務経験を基準にしております。業界によっては当てはまらない部分もあります。
    あくまで一実務担当者の考え方を紹介するものであり、必ずしもスキルマップとして最適なものを提案するものではないことをご理解いただき、ご了承願います。
    設計者のみなさまの一助になれば幸いです。

    【この記事を書いた人】

    稲田聡(いなたさとし)
    株式会社ナカサ 開発室長
    ファクトリー・サイエンティスト No,00385
    1966年島根県安来市生まれ
    1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
    1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
    現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

    【過去に書いた記事】

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