【設計サプリ】その２５（QC工程表のチェックポイント）
[掲載日]2023.03.15設計者の皆様
いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
このページでは
私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第25回目は「QC工程表のチェックポイント」です。
私たち加工屋は一つの製品を加工するときQC工程表という書類を作成します。
QC工程表は製品と製造工程の管理方法を記述した文書でコントロールプランとも呼びます。
このQC工程表はお客様のご要求によっては提出書類になります。
品質監査を受けるときの資料として使用しますので設計者の皆様も見る機会があるのではないでしょうか。
今回はこのQC工程表を具体的な作成例を見ながら、その見方やどのようなポイントがあるのかをご紹介します。
（１） QC工程表に求められる項目
QC工程表に必要な項目は
・作業の段取り替え検証
・初品・終品の妥当性確認
・特殊特性の管理方法（今回の事例では対象寸法はありません）
・不適合製品が検出された場合の対応計画
・工程が統計的に不安定または能力不足になった場合の対応計画
が含まれていないといけません。
A4かA3用紙1枚で作成することが多く、全ての内容を1枚の用紙に表記することは難しい為
共通で使用できる手順書や規格はその書類番号のみを記載します。
設計者の皆様が作成された図面の寸法に番号を振り、その番号ごとに管理方法を表記していきます。
（２） 作成事例
図１，表１に作成事例を示します。
この製品の想定はニアネットシェイプで製造された精密鋳造品を調達し、機械加工するQC工程表になります。
測定方法にはどのような測定器を使用するか記載されています。
ノギス、マイクロメーター、ダイヤルゲージなどと言った手に持って測定する機器以外に最近では
画像寸法測定機といった機器も使用します。
写真１（画像寸法測定機）
このような測定機を使用することで測定時間を短縮し、コスト削減することができます。
もし、品質監査に同行される機会がありましたら、不明な測定機はぜひ見せてもらうようにしてください。
図1
表1
（３） 寸法が記載されていない部分まで読み取れるか
製図では省略されている寸法も管理項目に入れなければいけません。
例えば表1の①～④です。
中心線振り分けで指定してある穴位置は図面にはピッチしか記載されていませんが、中心からのズレも管理が必要です。
また⑤のような比較的広い面の面粗さはRaによる管理ですと粗いカッターマークなどが検出しにくいことから追加の管理方法（この例ではRz管理）も記載しています。
さらにこの製品は30°面に穴加工が必要です。
測定するときに製品の傾けた姿勢を維持するための測定治具を使用しています。
測定治具に固定する為、⑥の4か所あるΦ6.5の穴は2か所だけJISB0405-中級の±0.1ではなく±0.01にしています。
以上のように寸法が記載されていない省略寸法の管理、指定公差以上に管理する箇所が無いかなどもQC工程表をチェックするポイントとなります。
また、このQC工程表はメーカーによって多様な書き方があります。欲しい情報を直ぐに読み取るには少し経験が必要かもしれません。
当社の事例として参考にしてください。
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【この記事を書いた人】
稲田聡（いなたさとし）
株式会社ナカサ 開発室長
ファクトリー・サイエンティスト No,00385
1966年島根県安来市生まれ
1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。
【過去に書いた記事】
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