【設計サプリ】その8 (Fusion360穴開けガイド)
[掲載日]2021.10.152021.10.15【新規投稿】
2021.11.30【改訂】
【Fusion360を使ってみました】
設計者の皆様
いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
このページでは
私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第8回目は「Fusion360穴開けガイド」です。
設計者の皆様は日頃からCADを使われているとおもいます。
皆様はどんなCADをお使いでしょうか。
私は30年前から多くのCADを使ってきました。最近では安価でクラウドで利用できるCADも登場し、ウン千万円するCADに立ち向かっていた昔に比べれば信じられないくらい便利になりました。
さて、今回はこのクラウドで利用できるCADであるFusion360の穴フィーチャーについて書きたいと思います。
この穴フィーチャーは簡単に穴の3Dモデルが作れるのですが、加工する側にとってみると気になる点も幾つか見つかります。
この気になる点を紹介したいとおもいます。
Fusion360の穴フィーチャーとはデザイン作業スペースにある赤枠のメニューです。
図1(メニュー)
この穴フィーチャーで生成できる28通りの穴を見てみるとA~Eの5種類に分類できます。
下の表に編集メニュー、生成されたモデルの断面、自動で表記した注記の一覧を掲載しています。
この中で気になった点は
TYPE-Aは設計サプリ7で書きました通り、タップの食付き部がなく加工できませんのでご注意ください。TYPE-Bで生成されることをお勧めします。
図2(TYPE-A)
TYPE-A,B共通としてタップ精度(クラス)に6Hと表記されています。
これは現在のJIS規格ですが、旧規格の2級に相当します。
この新旧規格は厳密には異なっていて、検査で使用するゲージが異なります。
私たち加工屋が使っているネジゲージは旧JIS規格のものも多く、特に設計意図がなければ旧JIS規格でも検査できるようにこの「6H」は削除しておいていただけると助かります。
図3(タップのクラス)
ちなみに加工に使用するタップは何も記載がない場合タップメーカーのオーエスジーさんでは「STD」、YAMAWAさんでは「P級」と書かれた精度のタップを使用します。
このSTDやP級は6Hと2級どちらにも対応できるので機能で問題になることはありません。(でもゲージは違うのです)
また、ドリル穴の先端角度はデフォルトで118°になっています。
これは設計サプリ1で書きました通り、118°のドリルは少なくなってきているので作図されるとき118°~140°と編集していただくことをお勧めします。
図4(ドリルの先端角度)
TYPE-CとDは結果として同じ穴になっています。
TYPE-Dはボルト穴用メニューなので通常のボルト穴であればTYPE-Dで生成されたほうがデフォルトで数値が入っているので入力する手間が省けます。
特殊な穴の場合はTYPE-Cで生成します。
TYPE-Eはテーパーネジです。このTYPEはネジのモデル化ができないのでデーター交換するとネジが消えます。
3Dデータ(中間ファイル)で加工担当に渡される時はご注意ください。
図5(中間ファイルstep出力例)
表1 穴フィーチャー一覧(2021年10月1日現在)
【この記事を書いた人】
稲田聡(いなたさとし)
株式会社ナカサ 開発室長
1966年島根県安来市生まれ
1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
工作機械も一通り使ってきましたが、最近はコストプラン、センサーを使った工場の見える化、インサイドセールスにも取り組んでいます。
(現在の主な使用ツール)
Rhinoceros
Fusion360
Ansys
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弊社ではロストワックス精密鋳造品を主としたニアネットシェイプ素材の切削加工、研磨加工、放電加工を受託加工しています。
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