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【設計サプリ】その7 (ネジ穴の製図方法)

[掲載日]2021.09.15

2021.9.15【新規投稿】
2021.11.30【改訂】

【ネジ穴の描き方】

設計者の皆様

いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
このページでは
私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第7回目は「ネジ穴の製図方法」です。

使用するネジ(タップと呼んでいます)工具は刃の種類によって図面の書き方も少し変わりますし、コストにも影響しますので紹介します。

タップの種類は写真1のように左からハンドタップ、スパイラルタップ、ポイントタップ、ロールタップがあり、
弊社では、タップ穴の深さ、材質、止まり穴/貫通穴、生産数などの条件により使い分けています。
写真1
まずそれぞれのタップの特徴をご説明した後、作図の注意点など紹介しいていきます。

それぞれのタップの違いは切りくずの排出方法の違いになります。
またトルクも違います。(図1)
図1
オーエスジー株式会社発行タップトルク計算シートにより算出
 https://www.osg.co.jp/media_dl/technical/index.html
(M6×P1、下穴径5、SUS304の場合)
(1) ハンドタップ
ハンドタップは切削していくと溝の中に切りくずが溜まっていきます。
止まり穴、貫通穴両方に使えて便利ですが、切りくずが溝に溜まっていくのでNC機械加工のような連続加工には適さず、主にボール盤などの手作業のタップ加工に使用します。弊社ではあまり使用しません。
図2 ハンドタップ
(2) スパイラルタップ
スパイラルタップは切削していくと切りくずが上方へ上がっていくように設計されています。
切りくずが逃げる場所が無い止まり穴に有効です。しかしトルクが大きく断面積も小さいため折れやすいという弱点もあります。
図3 スパイラルタップ
(3) ポイントタップ
ポイントタップは切りくずが進行方向に出てくるタップです。貫通穴に使用します。
図4 ポイントタップ
(4) ロールタップ
ロールタップは切りくずが出ないタップです。下穴を盛り上げていく加工方法になるため切りくずが出ず、非常に良いのですが、トルクが大きく、大径のタップには使用できません。また硬い材料にも不向きで使用範囲は他のタップに比べ制限されます。
図5 ロールタップ
4種類ありますが弊社では止まり穴であればスパイラルタップ、貫通穴であればポイントタップを使用することが基本なので、この2種類で加工すると考えていただければ良いと思います。

作図するときの注意点としては止まり穴の場合、タップは先端に食付き部と言う刃が無い部分があるため(図6)、図7のような形状ですと加工ができません。
止まり穴で使用するスパイラルタップの場合はこの食付き部は表1のように2.5山程度なので、図8のようにピッチ×3以上は下穴の部分を残して設計いただくことをお勧めします。
また、加工する側から見たときあまりネジが深いと切削抵抗が増しタップが折れやすくなる為、機能上問題なければネジ深さは径の2倍程度でお願いします。

タップ食付き部の少ないネジ形状は、タップ先端の成形が必要になり、さらに切削抵抗が大きくなって寿命が短くなる。などコストアップの要因となってしまうからです。

図6
図7
表1
図8

しかし機能上必要であれば深いタップもがんばって加工します。
弊社ではM10程度で深さ径×10までロット生産した実績があります。

貫通穴の場合は特に作図上注意いただくことは無いのですが、機能的に問題なければ図8のように止まり穴でなく図9のように下穴のみ貫通にして設計いただくと、穴の中の観察がしやすいので残留物残存リスクの低減になります。
図9
最後にロールタップについてですが、タップサイズが小さい場合で切りくず排出のリスクを低減するためロールタップを使用した方が良い場合があります。ロールタップにする場合下穴径が変わるため、弊社から提案という形でご相談させていただくことがあります。
参考までに特に指示がない無い場合の下穴径を表2に示します。
表2

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【この記事を書いた人】

稲田聡(いなたさとし)
株式会社ナカサ 開発室長
1966年島根県安来市生まれ
1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
工作機械も一通り使ってきましたが、最近はコストプラン、センサーを使った工場の見える化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

(現在の主な使用ツール)
Rhinoceros
Fusion360
Ansys

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弊社ではロストワックス精密鋳造品を主としたニアネットシェイプ素材の切削加工、研磨加工、放電加工を受託加工しています。
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