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CADデータ交換の知識|設計サプリNO,29

[掲載日]2023.07.17

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設計者のみなさま、いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
弊社では、私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第29回目は「CADデータ交換の知識」です。

設計者のみなさまは取引先にCADデータを支給されるとき、どの形式を使われているでしょうか。「データ形式は沢山あって良く分からない」と思われている方もおられるのではないでしょうか。
今回は、どのデータ交換方法が一番良いのか実験を交えて紹介します。

CADデータ交換の必要性

CADデータ交換とは異なるCADシステムでデータを交換(変換)することを言います。
同じCADシステムであれば必要ないのですが、会社間や部署間で異なるCADを使用している場合交換が必要です。

CADデータ交換には中間ファイルを用いる方法と直接変換する方法があります。
相手がどんなCADを使っているか分からない場合や、複数の協力会社にデータを送る場合などは汎用性の高い中間ファイルを利用する場合が多いです。
今回の記事は弊社でも良く利用している中間ファイルについて紹介します。

データ交換の種類

代表的なデータ交換形式は以下のようなものがあります。

  • Parasolid
  • ACIS
  • IGES
  • STEP
  • DXF
  • それぞれのデータ交換形式の概要を解説します。

    Parasolid

    Parasolid(パラソリッド)は、米Unigraphics Solutions社(開発当時)が開発したモデリングカーネル(ソフトウエアの中核部)で1990年代から利用されています。
    機械系CADで多く採用されたことから、同じParasolidをモデリングカーネルとしているCAD同士でデータ交換に利用されていました。現在は、汎用のデータ交換形式としても利用されています。
    拡張子はx_tまたはx_bです。

    ACIS

    ACIS(エイシス)は、米Spatial Technology社(開発当時)が開発したモデリングカーネルで1990年代から利用されています。
    建築系など機械系以外のCADでも多く採用され、Parasolidと同様に同じモデリングカーネルを利用しているCAD同士でデータ交換に利用されていました。現在は汎用のデータ交換形式としても利用されています。
    拡張子はsatまたはsabです。

    IGES

    IGES(アイジェス)は、ANSI(アメリカ規格協会)の規格として採用されたデータ交換の仕様で1980年にv1.0がリリースされています。
    多くのCADがデータ交換の機能として採用したこともあり、事実上世界標準となりました。
    現在開発は終了しているようです。
    拡張子はigsまたはigesです。

    STEP

    STEP(ステップ)は、ISO(国際標準化機関)のCADデータ交換規格として採用され1994年から正式規格となっています。
    IGESの後継として位置付けられています。
    拡張子はstpまたはstepです。

    DXF

    DXFは、米Autodesk社が開発したデータ交換形式で、元々はAutodesk社が開発したAutoCADと他のプログラムと連携のために作られた仕様です。
    仕様が公開されたことで他のCADでも利用されるようになり、汎用のデータ交換形式として普及しています。先に紹介した4つの交換方式は3次元データが主なのに対し、DXFは文字や寸法を含む2次元データの交換方法として利用されています。
    拡張子はdxfです。

    【参考文献】
    新CADの基礎知識 1996年発行 日経BP社 p162~222
    3次元CAD導入完全ガイド 1998年発行 日経BP社 p200~219
    CADユーザーのためのDXFリファレンス・ガイド 1995年発行 日経BP社

    どのデータ交換方法が一番良いか実験しました

    沢山あるデータ交換形式ですが、どの形式を使ったら良いのでしょうか。
    実際に交換するのがわかりやすいと思いますので以下の実験をしました。
    3次元データの実験を先に紹介します。2次元データ(DXF)は後述します。

    【実験形状】渦巻ポンプ(ケーシング)
    第28回設計サプリ「知っておくと役に立つ3次元形状の作り方と注意点 」で使用したデータです。
    渦巻ポンプ(ケーシング)

    【書き出す側で使用したCAD】

  • Rhinoceros
  • 【読み込む側で使用したCAD】

  • Fusion360
  • SolidWorks
  • TopSolid
  • SpaceClaim

  • 【○×の判定基準】
    読み込んだとき1個のソリッド(すき間のない一つのかたまり)として認識すれば○、出来なければ×
    CADには自動修復機能がありますので、自動修復機能を使用して1個のソリッドとして認識した場合も○としています。
    ○の例
    ×の例

    交換結果を表に示します。

    この実験ではSTEPとACISの交換確率が高いことがわかります。
    特にSTEPは、データ交換の機能としてほとんどのCADに採用されているためお勧めです。
    しかし、伝達する情報としては形状データ以外に寸法や注記情報も必要ですので、後述するDXFやPDFも検討必要です。

    2次元データ交換はDXFで問題ないのか実験しました

    2次元データの交換はDXFが良く利用されると紹介しましたが、文字や寸法を含む2次元データ交換はDXFで問題ないのかも実験しました。

    【実験図面】ブロック
    第25回設計サプリ「QC工程表のチェックポイント 」で使用したデータです。

    【書き出す側で使用したCAD】
    Fusion360
    【読み込む側で使用したCAD】
    Rhinoceros

    変換結果の画像を以下に示します。

    概ねうまく変換されているようですが、注記が一部消えています。
    また角度数値が変わっています。
    これでは問題ありますので、DXFにてデータを支給される場合は、印刷用として広く普及しているPDFを一緒に送ることをお勧めします。

    PDFを使った交換方法も実験しました

    PDFは、ISO(国際標準化機関)で採用されている電子文書ファイル形式です。
    印刷用のデータとして広く利用されるPDFですがデータ交換にも利用できます。
    ただし、書き出し側のCADにベクトル形式でPDFを出力する機能が必要です。
    実験結果を以下に示します。
    DXFでは消えてしまっていた注記もうまく変換できています。
    また角度数値も元のままです。
    PDFもCADデータとして変換できると読み込み側のCADで編集出来て便利ですよね。

    しかしよく見ると、わずかに形状がずれてしまっています。
    また、円弧形状も短い曲線になっています。
    PDFによるデータ交換も問題があるようです。
    PDFの場合
    DXFの場合

    結論として3D(STEP)+印刷用2D図面(PDF)がお勧め

    ここまでいくつかデータ交換の実験を紹介しましたが、結論として 3次元データはSTEP、
    寸法や注記はPDFのセット
    でのデータ交換がお勧めです。
    2次元データのみであればDXF+PDFが良いでしょう。
    他の方法が全てNGではありませんが、どの形式が良いかわからない場合はSTEP+PDFで試してください。

    データ交換の将来

    日本自動車工業会が2023年3月24日に発行した「DEデータ流通改革の期待と課題」によると、この記事で紹介したようなデータ交換方法(3次元 +2次元)は過去のやり方と紹介されています。
    現在は3次元図面が使用されており、今後はPMI(製造情報)を含んだモデルベースの交換方法となっていくと書かれています。
    しかし、実務をやっている者としてはまだまだ3次元 +2次元図面が主流でしばらくは続くと感じています。
    理由は私たちの係るものづくりは多くの企業が連携することで成り立っています。
    連携する企業の中にはCADを使用しない企業も含まれるからです。

    CADデータ支給の場合はご相談ください

    見積りと製作のご依頼時はSTEP+PDFでの支給をお勧めしますが、他の方法をご希望の場合はご相談ください。ご相談いただく場合は下記の問い合わせフォームが利用できます。

    【この記事を書いた人】

    稲田聡(いなたさとし)
    株式会社ナカサ 開発室長
    ファクトリー・サイエンティスト No,00385
    1966年島根県安来市生まれ
    1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
    1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
    現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

    【過去に書いた記事】

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    弊社ではロストワックス精密鋳造品を主としたニアネットシェイプ素材の切削加工、研磨加工、放電加工を受託加工しています。
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