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知っておくと役に立つ3次元形状(自由曲面)の作り方と注意点|設計サプリNO,28

[掲載日]2023.06.15

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設計者のみなさま、いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
弊社では私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第28回目は「知っておくと役に立つ3次元形状の作り方と注意点」です。
設計者のみなさまは3次元CADを使って設計されていると思います。
私も長く3次元CADを使っていますが、3次元CADで自由曲面を作成するとき気を付けていることがありますので紹介します。

自由曲面とは

3次元CADによる自由曲面(サーフェスとも呼びます)を作成する代表的な方法には以下のようなものがあります。

  • 回転サーフェス
  • スイープサーフェス
  • ルールドサーフェス
  • ロフトサーフェス
  • パッチサーフェス
  • 回転サーフェス

    任意の形状をある軸回りに回転させた軌跡で曲面を定義する方法。
    生成結果がイメージしやすく思った通りの形状になることが多いです。
    回転サーフェス

    スイープサーフェス

    ある線分を軌道に沿って移動させ、線分が通った軌跡で曲面を定義する方法。
    線分と軌道を正しく配置すれば思った通りの形状になることが多く、比較的きれいな曲面を作成できます。
    スイープサーフェス

    ルールドサーフェス

    2つの曲線同士を直線でつないで曲面を定義する方法。
    思った通りの形状になることが多いです。
    CADによってはここで紹介した以外の作成方法に含まれる場合があります。

    ルールドサーフェス

    ロフトサーフェス

    断面形状を表す複数の線分を滑らかにつないで曲面を定義する方法。
    CADによっては細かな設定があり、なかなか思った通りの形状にならない場合があります。
    スキンサーフェスとも呼びます。

    ロフトサーフェス

    パッチサーフェス

    連続した複数の線分を使用し、閉じた曲面を定義する方法。
    使用する線分によっては思った通りの形状にならない場合があり、広い形状でなく穴埋めなどの面積の少ない形状によく利用しています。
    バウンダリサーフェスやフィルサーフェスとも呼びます。

    パッチサーフェス

    使用するCADによって生成結果が異なる場合がある

    弊社では複数の3次元CADを利用しています。
    同じ形状を異なるCADで作成して見るとその違いに気付くことがあり、この違いは、取引先様とのやり取りで注意するポイントにもなります。
    以下、弊社で自由曲面を作成した事例から、3次元CADを利用するときの注意点を紹介します。

    2つの3次元CADによる自由曲面作成の事例

    図1のような渦巻ポンプのケーシングを事例として紹介します。

    図1渦巻ポンプ(ケーシング)

    最小限の線分で作成できるように基本形状は図2のように定義しました。
    図2基本形状

    定義されている線分は全て直線と真円です。新たに補助線分は作成しない条件で作成しました。
    できるだけ早く目的の曲面が生成できる方法を選んでいるため、CADの機能の有無により自由曲面の作成方法は異なります。

    Fusion360での作成

    Fusion360では、ロフトサーフェスにて作成します。

    図3のように定義された5つの輪郭形状をプロファイルとし、1つのガイド曲線をレールとして選択してOKボタンを押すと曲面が生成されます。

    図3

    その他の形状も、図4のようにロフトサーフェスにて曲面を生成し、図5のようなケーシングの基本形状を作成することができます。

    図4
    図5

    Rhinocerosでの作成

    Rhinocerosでは、スイープサーフェス(1レールスイープ)にて作成します。

    図6のように定義された1つのガイド曲線をレールとし選択し、さらに5つの輪郭形状を断面曲線として選択します。
    次にEnterを押すとオプション画面が表示されるのでデフォルトのままOKボタンを押します。
    すると曲面が生成されます。

    図6

    その他の形状も図7のようにスイープサーフェスにて曲面を生成し、図8のようなケーシングの基本形状を作成することができます。

    図7

    図8

    2つの3次元CADによる自由曲面の違い

    生成された2つの自由曲面を比較してみます。

    一見同じように見える二つの形状ですが任意の断面を切断してみると図9のように異なることが分かります。


    図9 左Fusion360、右Rhinoceros

    製図するときの注意点

    渦巻ポンプのケーシングの事例のように、自由曲面を使った部品を設計製図されるとき注意いただきたいことがあります。
    3次元CADを使用して設計した場合、CADデータを製作側に支給されることが一般的ですが、諸事情によりデータを支給できない場合やデータが壊れているため作り直しが必要な場合があります。
    その場合、製作側がデータを作ることになりますが、 使用するCADによっては自由曲面の形状が異なる場合があるため、製図された図面または仕様書に任意の断面に対して公差(例:断面積±○%以内)を表記することをお勧めします。
    弊社では見積り時に公差を問い合わせさせていただく場合があります。
    意匠形状で公差が決められない場合はご相談ください。
    ご相談いただく場合、下記の問い合わせフォームが利用できます。

    新人設計者に役立つCADデータをダウンロードできます。

    渦巻ポンプのケーシングの事例で使用したCADデータをダウンロードページからダウンロードできます。(データ形式はSTEP)

    ご自身の使用しているCADで開いて、曲面を作成し比較してみてください。
    ダウンロードデータには完成した渦巻ポンプケーシングの完成モデル(素材モデル)も入っています。
    新人設計者様の参考になれば幸いです。
    受け取るCADによっては全ての形状をインポートできない場合があります。その場合は下記の問い合わせフォームによりご連絡ください。
    例:基本形状のワイヤーフレームが受け取れないのでdxfで送ってほしい。

    この記事をPDFでダウンロードしてご覧になりたい方はイプロスよりダウンロードしてください。

    【この記事を書いた人】

    稲田聡(いなたさとし)
    株式会社ナカサ 開発室長
    ファクトリー・サイエンティスト No,00385
    1966年島根県安来市生まれ
    1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
    1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
    現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

    【過去に書いた記事】

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    弊社ではロストワックス精密鋳造品を主としたニアネットシェイプ素材の切削加工、研磨加工、放電加工を受託加工しています。
    設計検討中からでも相談に応じます。

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