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3次元CADによる3Dモデルの正しい作り方 | 設計サプリNO,42

[掲載日]2024.08.13

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設計者のみなさま、いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
弊社では、私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第42回目は「3次元CADによる3Dモデルの正しい作り方」です。
設計者のみなさまは普段から3次元CADを使われていると思います。
どのような手順で作成されていますでしょうか。
私も長く3次元CADを利用していますが、どんな手順が一番良いのか改めて考えてみましたので紹介します。

3Dモデリングとは

現在では当たり前のように使用している3次元CADですが、普及したのは1990年代です。
当時は試行錯誤しながら業務に利用していた時代で、1999年に「モデリングセンスハンドブック」と題した専門誌が発行されたことがありました。あれから25年経って変化したのかも含めて実際に3次元モデルを作ってどの手法が良いのか確認したいと思います。

基本は+、-、×

3Dモデルの作り方の基本は基本形状を作ってから和(+)、差(-)、積(×)などを組み合わせて作ってきます。これは昔と変わりません。

基本形状(プリミティブ)

基本形状(以降プリミティブと呼ぶことにします。)は四角柱や円柱、球などがあります。

プリミティブを作る方法はいくつかありますが、スケッチと呼ばれる座標面に線を描いて押し出しなどして作る方法がよく知られています。

和(+)

和(+)は2つ以上のプリミティブを一つに合体させる作成方法です。

差(-)

差(-)は一つのプリミティブからもう一つのプリミティブの交わった部分を削り取る作成方法です。
類似の手法でシェルと呼ばれる厚みを残してくり抜く作成方法もあります。

積(×)

積(×)は一つのプリミティブともう一つのプリミティブの交わった部分のみを残す作成方法です。

その他の作成方法

その他としては、作成したプリミティブにフィレット面取り分割するなどの方法もあります。
上記のプリミティブや和、差、積を含めた単位形状を総称してフィーチャーなどと呼んでいます。

3次元モデル作成事例

下記に示す図面を3Dモデルにする場合、どのような手順が良いかいくつかの方法で作成しましたので紹介します。

和(+)で作成する

和(+)で作成する手順は以下の通りです。
この製品は左右対称なので半分だけ作成して最後にミラーします。
最初に底面の形状をスケッチして3㎜押し出します。

次に高さ40㎜までの壁面をスケッチして押し出します。

次に天面の円との穴形状をスケッチして3㎜押し出します。

次に円形の壁を押し出します。

次に最上部60㎜までの壁面を押し出します。

次にフィレットを作成していきます。
(6個のフィレットフィーチャー)

最後にミラーして完成。

差(-)で作成する

差(-)で作成する手順は以下の通りです。
最初に外角の四角い形状をスケッチして60㎜押し出します。

次に円形状と壁3㎜が残るようにスケッチして削り取ります。

次に反対側の円形状を37㎜削り取ります。

次に穴形状を削り取ります。

次に段差部分をスケッチして20㎜削り取ります。

次にフィレットを作成していきます。
(和と同じ)

最後にミラーして完成。

シェルで作成する

この事例は積(×)の作成方法は適さないのでシェルでの作成やってみます。
(シェルと和、差を組み合わせて作成しています)

シェルで作成する手順は以下の通りです。
最初に外角の四角い形状をスケッチして60㎜押し出します。

シェル機能で板厚3㎜にくり抜きます。

次に円形状をスケッチして押し出します。

次に先ほど押し出した円形状をシェル機能で板厚3㎜にくり抜きます。

次に不要な壁を削り取ります。

次にリブ形状をスケッチして押し出します。

次に穴形状をスケッチして削り取ります。

次にフィレットを作成していきます。
(和、差と同じ)

最後にミラーして完成。

【参考文献】 モデリングセンスハンドブック 1999年 日経BP社発行

どの作成方法が良いのか

3通りの作成方法を比較します。

作成履歴を見ると、スケッチ数+フィーチャー数の合計が一番少ないのは和(+)でした。
一方一番多いのはシェルでした。
和(+)は粘土で作るイメージなので一番簡単でわかりやすい作成方法と言えます。
しかし、どの手法も大きな差は無いので上記のどの手法を用いても問題ないかと思います。

板厚を変更する場合を考えてみる

今回の事例は板厚3㎜に公差があり、公差の中央でモデルを作る場合、3.1㎜になります。
製造するとき、製造担当から公差の中央3.1㎜でモデルを作ってほしい、あるいはプラス目に3.2㎜で作ってほしいなどと頼まれた場合、板厚を変更することになります。

板厚変更するとき、どの手法が変更する箇所が少ないかを調べました。

結果、シェルが一番変更する箇所が少ないようです。

変更する箇所が少なければ変更忘れのリスクも減ります。

モデリングセンスとは

3次元CADを使う設計者にとってモデリングセンスとは何を指すのでしょうか。
経験上モデルを作成するとき、後で変更がしやすいようにモデルを作るようにしています。
設計変更や修正は頻繁に行いますので、それに対応しリスクを減らす為です。
変更の可能性が高い箇所によってモデリングの手法は変わります。
今も昔も変わらず、後の変更がしやすいモデル作成が良いモデリングセンスと言えるでしょう。 

3Dモデルなくてもご相談ください

弊社ではスケッチからの3Dモデル作成や現物から3Dモデル作成し製作を行っています。
お気軽にご相談ください。
ご相談は下記問い合わせフォームが利用になれます。

【この記事を書いた人】

稲田聡(いなたさとし)
株式会社ナカサ 開発室長
ファクトリー・サイエンティスト No,00385
1966年島根県安来市生まれ
1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

【過去に書いた記事】

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弊社ではロストワックス精密鋳造品を主としたニアネットシェイプ素材の切削加工、研磨加工、放電加工を受託加工しています。
設計検討中からでも相談に応じます。

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