はじめての内部監査の進め方(間接部門編) | 設計サプリNO,43
[掲載日]2024.09.16設計者のみなさま、いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
弊社では、私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。
第43回目は「はじめての内部監査の進め方(間接部門編)」です。
設計者のみなさまは内部監査を担当されたことがあるでしょうか。
今回の記事では認証企業の多いISO9001で要求されている内部監査について担当を依頼されたとき慌てないよう、その進め方を紹介します。
内部監査とは
品質マネジメントシステムISO9001では「あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施する」ことが要求されています。
内部監査とは社内の人同士でお互いのマネジメントシステムの運用状況を確認し合い、問題のある所を指摘し、継続的改善を促す作業です。
定められた期間は特に決まりはありませんが1年に1回とされているところが多いのではないでしょうか。
内部監査の指摘レベル
内部監査の指摘レベルは認証機関による指摘レベルと基本同じです。
などがあります
重大な不適合
重大な不適合はマニュアルで要求されている項目を実施していないときに使用します。
軽微な不適合
軽微な不適合はマニュアルで要求されている項目を実施しているが、記録がなかったり、マニュアルと異なることを行っていたり(要求事項を理解していない)した場合に使用します。
やさしい監査をすると継続的な改善につながらない為、2件以上「軽微な不適合」を挙げるよう監査します。
改善の機会
改善の機会はマニュアル通りに実施しているが、記録が間違っていたり、不足していた場合に使用します。
監査の進め方
内部監査は監査役と被監査役とにわかれそれぞれ2~3名程度で行います。
時間は2時間程度で終わらしたいので事前に監査する分担など決めておいた方がいいでしょう。
すべての規格(項目)を監査することはできないで基本サンプリングとなります。
以下監査の内容を紹介します。
文書管理(7.5.3)
監査を始めて最初に行うのは文書管理です。お互いが持っている品質マネジメントシステムのマニュアルの改訂番号が最新の版かを確認します。
古いものを持っている場合は変更管理の要求事項を満たしていないので不適合になります。
また、正式配布でないコピーをもっている場合も不適合になる場合があります。
前回の内部監査、認証機関による指摘の状況確認(10.2.1)
前回の内部監査や認証機関によって指摘された項目が改善されているか確認します。
確認とは
ここで「確認」とはヒアリング+証拠の現認です。
記録はありますか?の質問に対し、「あります」と答えたら必ずその記録を見せてもらいます。
有効性のレビュー
不適合の是正措置はその有効性をレビューすることになっています。
対策を行ったらその確認だけでなく、効果の確認も行います。
例えば。
対策として教育訓練を行ったのであればその事実(教育訓練報告書など)を確認したうえでその効果を客観的に確認します。 そのためにも教育訓練後はしばらく有効性を確認するための作業記録を作成しておくことが推奨されます。
なければ本人にインタビューまたはテスト(点数付スキルマップ)をする方法もあります。
(内部監査の時に実施するのではなく実施した結果の記録を残しておく)
KPIの状況確認(6.2.1)
各部門にはそれぞれ品質目標が掲げられています。
これはしばしばKPI(Key Performance Indicator)などと呼ばれています。
監査対象部門のKPIを確認してその目標を達成しているか確認します。
達成していなければその是正状況を確認します。
目標を達成していなくても不適合にならない
目標未達でもかならず不適合にはなりません。要求事項を満たしている中での未達であれば改善の機会となるでしょう。
よくあるKPI
よくあるKPIを紹介します。
-
余裕で達成できるKPIにしておいて毎回目標達成!
これは継続的改善の観点からも改善の機会となるでしょう。
(認証機関による監査でも漏れなく指摘されます)
力量の確認(7.2)
各部門には所属されている人すべての力量を明確にするスキルマップがあります。
内部監査の時に作業されている人を2~3人選んでその人が今作業している内容をヒアリングし、その作業をやって良い力量があるかをスキルマップで確認します。もし力量がなく教育中(OJT)であれば教育訓練計画書を確認して計画に基づいて行われているか確認します。
マネジメントレビューのインプットとアウトプット(9.3)
1年に1回は経営層によるマネジメントレビューが行われます。
監査対象の部門がマネジメントレビューに報告する内容とその報告に対してどのような指示が来たのかを確認します。
指示があればその指示の実施状況や有効性を確認します。
顧客重視
ISO9001では顧客重視(5.1.2)があることからマネジメントレビューでは顧客クレームに対する改善などが各部門に要求されることがあります。
指摘だけでなく良いことも書く
内部監査と聞くと悪いところを見つける作業と思われがちですが、確認した結果問題ないのであれば、
-
適切に実施、記録されていました。
などと良かった点も監査報告書に書くことをオススメします。
CSRも確認する
取引先からCSR(顧客固有要求事項:Customer Specific Requirements)が発行される場合があります。また自社にCSRがあり弊社のような調達先に発行されている場合があります。
そのCSRの要求事項を満たしているか確認する必要があります。
どの項目を監査するかは自社のISO事務局に確認ください。
4M変更
CSRの中で4M変更管理【Man(人)・Machine(機械)・Material(材料)・Method(方法)】があります。
設計者にとっても重要な管理項目ですので、顧客や自社のCSRを事前に確認しておきましょう。
お断り
この記事で紹介した内部監査の手順は弊社で実施しているものを抜粋したものです。一つの事例として参考にしていただけると幸いです。
監査報告書のサンプルを以下に示します。
品質管理についてはお問い合わせください
弊社ではISO9001を取得しています。
また、運用している品質マネジメントシステムはIAQG9100(航空宇宙)とIATF16949(自動車)にも準拠しています。調達先監査や提出可能書類についての詳細はお問い合わせください。
お問い合わせは下記問い合わせフォームがご利用になれます。
【この記事を書いた人】
稲田聡(いなたさとし)
株式会社ナカサ 開発室長
ファクトリー・サイエンティスト No,00385
1966年島根県安来市生まれ
1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。
【過去に書いた記事】
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