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JIMTOF2024をユーザー目線で報告します | 設計サプリNO,45

[掲載日]2024.11.15

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設計者のみなさま、いつもお世話になっております。
株式会社ナカサ見積り担当です。
弊社では、私たちが見積りする中で経験したコストダウンに関する情報を「設計サプリ」と題してご紹介させていただきます。

第45回目は「JIMTOF2024をユーザー目線で報告します」です。
設計者のみなさまは日本国際工作機械見本市(JIMTOF)を知っておられるでしょうか?
2年に1回東京ビックサイトで開催される日本で最大の工作機械見本市です。
今回は2024年11月5日~10日まで開催されたJIMTOF2024についてその内容を30年前から調査しているユーザー目線で紹介します。

JIMTOFとは

JIMTOFは2024年で32回目となる工作機械の見本市です。現在は2年に1回東京ビックサイトで開催されています。弊社のような加工メーカーにとっては新技術や現在のトレンドを調査するうえで重要な情報収集源となっています。今回の記事では見学したJIMTOF2024の内容を業界の動向に加え二つの視点で紹介します。

JIMTOFの開催規模

2024/11/5~10まで開催されたJIMTOF2024は約13万人の来場者があったようです。 
大手の工作機械メーカーのブースは人も多く移動するのが大変でした。
前回2022年開催と比較しますと来場者数は増えていますので市場の注目度は上がっているように見えますが、2018年開催と比較しますと出展社数は増えていますが来場者数は減っていることがわかります。(2020年はコロナ過で開催されませんでした)
これは工作機械受注統計から市場動向と関係があると考えられます。

出所:
JIMTOF2018_Final_Report_jp.pdf
JIMTOF2022_Final_Report_jp.pdf
JIMTOF2024 来場者数(速報版) .pdf
JIMTOF2024_News_Release241003.pdf

※JIMTOFは11月開催の為、開催年の1月~9月で比較
出所:統計情報|日本工作機械工業会  https://www.jmtba.or.jp/statistics/

アカデミックエリアが新設

JIMTOF2024では新たにアカデミックエリアが新設されました。
人手不足を反映していることがうかがえます。
エリア内の来場者をみますと平日だったとこともあり学生の数は少ない印象でした。
アカデミックエリアの中には大学などが工作機械に関連した研究成果をポスターセッション形式で紹介するエリアがあります。(ポスターセッションは初めてではなく毎回開催)
一つ目の視点は大学等がどのような研究をされているか調査しましたので下記で紹介します。

ポスターセッション

JIMTOF2024でのポスターセッションは出展数52点で6つの分野に分かれていました。
加工技術及び加工現象が一番多く次に計測・評価技術と続きます。
この点数を2022年や2018年と比較してみますと先ほど紹介した来場者数の推移と同じような傾向があり、2022年に比べ増えていますが2018年と比較すると減っています。
傾向としては加工技術及び加工現象が減っているのに対し、計測・評価技術は増えています。
最近ではAIなどの手法を用いて異常をシステムが判定するような研究が増えているのが要因のひとつと考えられます。

加工現象の見える化

ポスターセッションの中で加工現象の見える化の研究に絞ってみると手法としては

  • 画像(高速度カメラ、サーモカメラ)
  • 音(マイク)
  • 電流・電圧(電流計、ひずみ計)
  • 振動(加速度センサー、AEセンサー)
  • の4つがありました。
    2022年や2018年と比較すると研究されている点数は増えているようです。

    弊社もこのような見える化は期待度が高いため、研究が進み企業が商品化することを期待しています。
    しかし大学などでの研究はドライ(乾式)環境での実験が多いようで、湿式で加工する実務とは結果が大きく異なることが懸念されます。            
    湿式でも影響差が少ない電流や振動による見える化に期待します。

    展示会場の出展の中には加工現象の見える化を目的とした商品もありましたが、高額で生産ラインに組み込むにはコストが合いません。安価なシステムの開発が望まれます。

    注目のAMエリア

    2022年に新設されたAMエリア(Additive Manufacturing Area)がJIMTOF2024でも設けられました。
    近年の3Dプリンターは金属造形の技術も進み多数の出展社がサンプルを展示していました。
    二つ目の視点では金属の造形品を展示していた中から12社を選びその展示内容を調査しましたので紹介します。

    実例が少ない

    多くの出展社がサンプルを展示していましたが、市場に出ている製品(商品)に組み込まれている実例を紹介していたのは12社中5社で、さらに日本国内の実例となると3社でした。

    △:海外事例
    ○:国内事例

    この理由としては造形品質は向上しているが品質保証方法が確立していない為、当事者間で保証方法を決めなければならず、保証できるかの判断が難しいことが考えられます。
    設計者の皆様の中にもこのような問題を抱えている方がおられるのではないでしょうか。

    ※造形方式の説明
    PBF: Powder Bed Fusion 粉末床溶融結合法
    DED: Directed Energy Deposition 指向性エネルギー堆積法

    造形方式についてはhttps://nakasa.co.jp/plan/2712 スナップフィットを設計&造形して3Dプリンターをテストする |  設計サプリNO,38でも紹介しています。

    治工具類は実例多い

    上記の実例は製品(商品)でしたが、金型や治工具となると保証がしやすいこともあり実例も多いようです。直接金属を造形する手法ではなく砂を3Dプリンターで造形し砂型とすることで複雑な形状の金属製品(鋳造品)を短期間で製作する手法などが紹介されていました。
    現時点ではこのような手法が現実的のようです。

    ロストワックスにも適用できます

    弊社では3Dプリンターにてロストワックス用の消失模型を製作しています。
    金型レスでロストワックス鋳造品を製作できます。
    鋳造+機械加工も承りますのでお気軽にお問い合わせください。
    お問い合わせは下記問い合わせフォームがご利用になれます。

    まとめ

    近年のJIMTOFはDXやCo2削減、AIと言ったトレンドのキーワードが多い中で真の機械加工のトレンドを探すのは難しくなっているように思います。
    今後も広い会場を頑張って歩いてヒアリングしていくしかないですね。

    【この記事を書いた人】

    稲田聡(いなたさとし)
    株式会社ナカサ 開発室長
    ファクトリー・サイエンティスト No,00385
    1966年島根県安来市生まれ
    1989年からCADによる設計に従事し、当時は自動車のインパネ部品で基板やプリズムなど設計していました。
    1991年から現在の会社で主に金型設計で3次元CAD/CAMを利用するようになり30年間複数のCAD/CAMと格闘した経験を持ちます。
    現在はコストプラン、センサーを使ったデータ視覚化、インサイドセールスにも取り組んでいます。

    【過去に書いた記事】

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    弊社ではロストワックス精密鋳造品を主としたニアネットシェイプ素材の切削加工、研磨加工、放電加工を受託加工しています。
    設計検討中からでも相談に応じます。

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